肉月~ニクツキ 29
公衆トイレから出てきた太った大きな身体の男は
短めの金髪に、片耳だけピアスをしている。
ヤンチャな風貌だがその顔は意外と童顔だった。
池田だ。その後ろから、もう一人出てくる。
何かを企んでいるような、あるいは世の中全てを
呪っている様な目つきの悪い太った男、佐伯だ。
「イかなくてよかったのか?佐伯は。」
「あぁ。いいんだ。この後もちょっと予定があってね。」
金髪の男はニヤリと笑った。
そして佐伯にさらに問う。
「どうせ、変態な予定なんだろ?」
そう言われた佐伯は足元を見たまま、
微かに笑っているのが口元でわかった。
「まぁ、そんなところだね。」
佐伯が答えると池田は大笑いした。
だが、その後に不思議そうに池田が尋ねる。
「そう言えば、あの田中悠ってヤツがホモってなんでわかった?」
池田の質問に佐伯はポケットから取り出した
携帯を操作しながら、答える。
「あれは…つまりブラフだよ。」
佐伯の言葉の意味をすぐに理解できなかった池田だったが、
急に目を丸くし、興奮して言う。
「ブラフって…ハッタリかよ!!」
「根拠は…まぁ、勘なんだけどね。」
佐伯は自嘲気味に笑う。
そしてまだ腑に落ちない、という顔をした池田に続けて話す。
「君はゲイとしての経験が浅いから解らないかもしれないけど…
観察力がある程度以上あるゲイにはゲイをある程度…見抜ける。」
その言葉を聞いた池田は、
さらに理解できないといった顔をしている。
佐伯は少し笑い、溜息をついてからまた話す。
「つまり僕は凄く曖昧なんだけど、ゲイが見抜けるんだ。
もろに露骨な…ゲイゲイした奴はもちろん、
時には自覚すら無い潜在的なヤツまで…ね。」
池田は理解出来ているのか、小さく頷いている。
佐伯はさらに続けた。
「で…、田中君の場合はこれまで完全ノーマークだったよ。一般人だと思ってた。
けど…数日前、この公園の林の中で僕と君との行為を見ている時の彼は…
僅かに…普通の反応ではない、気がした。」
「…それでブラフってわけか。」
池田が呆れ気味に言うと、佐伯が小さく頷く。
もうすっかり暗くなった空にはまだ厚い雲がかかっている。
それでも公園の地面も随分と乾いてきたようだ。
池田と佐伯はそれぞれ別の方向へと帰っていく。
田中悠は、まだ公園の公衆トイレに一人でいる。
脱がさせられた制服を着て、手洗い場の水で口をすすぎ、
顔を洗っていた。ジャブジャブと顔を洗いながら、泣いていた。
全てがショックだった為だ。
佐伯になぜか自分が宗助を好きだと気付かれている事も、
佐伯や池田に行為を強要された事も、
嫌だと思いながら強く興奮し、感じてしまった事も…。
いっそ…消えてしまいたい、そんな気持ちで悠が顔を上げ、
鏡に映った自分の顔をなんとなく見た。
最初は気付かなかったが、どこかに違和感がある。
「…?」
悠は鏡に映る自分をもう一度、よく見て、
自分の鼓動がドクンと脈打つのを感じた。
鏡に映っている自分の顔…その瞳がほんの微かだが、赤いのだ。
眼球が充血しているわけでは無い。
瞳孔部分に鈍く赤く…微かに光っているように見える。
だがそれは、驚きのあまりに瞬きをした瞬間。
普段どおりの悠の黒い瞳に戻っていた。
その後、何度も目を閉じたり開けたりしてみたが瞳は黒いままだった。
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短めの金髪に、片耳だけピアスをしている。
ヤンチャな風貌だがその顔は意外と童顔だった。
池田だ。その後ろから、もう一人出てくる。
何かを企んでいるような、あるいは世の中全てを
呪っている様な目つきの悪い太った男、佐伯だ。
「イかなくてよかったのか?佐伯は。」
「あぁ。いいんだ。この後もちょっと予定があってね。」
金髪の男はニヤリと笑った。
そして佐伯にさらに問う。
「どうせ、変態な予定なんだろ?」
そう言われた佐伯は足元を見たまま、
微かに笑っているのが口元でわかった。
「まぁ、そんなところだね。」
佐伯が答えると池田は大笑いした。
だが、その後に不思議そうに池田が尋ねる。
「そう言えば、あの田中悠ってヤツがホモってなんでわかった?」
池田の質問に佐伯はポケットから取り出した
携帯を操作しながら、答える。
「あれは…つまりブラフだよ。」
佐伯の言葉の意味をすぐに理解できなかった池田だったが、
急に目を丸くし、興奮して言う。
「ブラフって…ハッタリかよ!!」
「根拠は…まぁ、勘なんだけどね。」
佐伯は自嘲気味に笑う。
そしてまだ腑に落ちない、という顔をした池田に続けて話す。
「君はゲイとしての経験が浅いから解らないかもしれないけど…
観察力がある程度以上あるゲイにはゲイをある程度…見抜ける。」
その言葉を聞いた池田は、
さらに理解できないといった顔をしている。
佐伯は少し笑い、溜息をついてからまた話す。
「つまり僕は凄く曖昧なんだけど、ゲイが見抜けるんだ。
もろに露骨な…ゲイゲイした奴はもちろん、
時には自覚すら無い潜在的なヤツまで…ね。」
池田は理解出来ているのか、小さく頷いている。
佐伯はさらに続けた。
「で…、田中君の場合はこれまで完全ノーマークだったよ。一般人だと思ってた。
けど…数日前、この公園の林の中で僕と君との行為を見ている時の彼は…
僅かに…普通の反応ではない、気がした。」
「…それでブラフってわけか。」
池田が呆れ気味に言うと、佐伯が小さく頷く。
もうすっかり暗くなった空にはまだ厚い雲がかかっている。
それでも公園の地面も随分と乾いてきたようだ。
池田と佐伯はそれぞれ別の方向へと帰っていく。
田中悠は、まだ公園の公衆トイレに一人でいる。
脱がさせられた制服を着て、手洗い場の水で口をすすぎ、
顔を洗っていた。ジャブジャブと顔を洗いながら、泣いていた。
全てがショックだった為だ。
佐伯になぜか自分が宗助を好きだと気付かれている事も、
佐伯や池田に行為を強要された事も、
嫌だと思いながら強く興奮し、感じてしまった事も…。
いっそ…消えてしまいたい、そんな気持ちで悠が顔を上げ、
鏡に映った自分の顔をなんとなく見た。
最初は気付かなかったが、どこかに違和感がある。
「…?」
悠は鏡に映る自分をもう一度、よく見て、
自分の鼓動がドクンと脈打つのを感じた。
鏡に映っている自分の顔…その瞳がほんの微かだが、赤いのだ。
眼球が充血しているわけでは無い。
瞳孔部分に鈍く赤く…微かに光っているように見える。
だがそれは、驚きのあまりに瞬きをした瞬間。
普段どおりの悠の黒い瞳に戻っていた。
その後、何度も目を閉じたり開けたりしてみたが瞳は黒いままだった。
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